青森県議会は今日(10月8日)、閉会します。

この議会では、2つの特別委員会が開かれました。当選後、はじめての経験でした。

一つは、原子力・エネルギー対策特別委員会。日本共産党からは安藤県議が所属し、昨日(7日)に質問にたちました。

もう一つは、新幹線・鉄道問題対策特別委員会。日本共産党からは、松田県議と私が所属し、一昨日(6日)の委員会で私が質問をしました。国交省鉄道局から人が来て質問に答えてくれました。

議題は、新青森・新函館北斗間を走る新幹線の高速走行(時速200キロ以上)のこと。一応、今年最後の日(12月31日)から来年1月4日までの5日間は、時速210キロの走行をはじめるということになりましたが、基本的には、新幹線なのに高速走行ができない状態にあります。

世にいう、「青函共用走行問題」と呼ばれるものです。

世にいう「青函共用走行問題」――高速走行が不可能な3つの理由

なぜ高速走行が不可能なのか。私なりに整理すると3つの理由があります。

一つは、一本のレールに新幹線用と在来線(主に貨物列車)用の幅の違うレールをくっつけている(3線軌条)ため。私は「レール問題」と呼んでいます。

重い列車(貨物)が走るため、レールが削られたりゆがんだりするので、高速走行ができません。それが可能になるように磨く(削正)必要性がでてきました。また、貨物から物が落ちていないかどうかを確かめる確認車の仕様を、3線軌条に適したものにする必要がありました。

第二に、明かり区間の課題。私は「明かり区間問題」と呼んでいます。

3線軌条のレールは、青森側と北海道側でそれぞれ新幹線専用レールと在来線専用レールに分かれますが、それまでの区間――つまり、青函トンネルから出て専用レールまで区分されるまでの共用区間(これを明かり区間という)――にも固有の問題があります。それが、除雪問題。3線軌条だと除雪を丁寧にやる必要があるそうです。除雪ができないから高速走行ができない。これが2つ目の理由です。

第三に、私は「すれ違い問題」と呼んでいることですが、青函トンネル内で高速走行した新幹線と貨物がすれ違うと危ない、という事情です。

質問をすることが決まってから、県議会の議事録や関連資料を読み、問われるポイントが2つあると考えて質問をしました。

安全性は、気合と根性と政治的妥協では乗り越えられない

一つは、高速走行のためには安全性の確保が絶対に必要だということです。

気合と根性と政治的妥協では安全性は解決しません。

ただ疑問だったのは、「レール問題」も「明かり区間問題」も「すれ違い問題」も、最初から分かって当然の課題じゃないかということです。

もともと国も県も、青函トンネルは260キロ走行に耐えられる設計だと言ってきました。国なんかは、「適している」とまで言っています(2013年3月「青函共用走行問題に関する当面の方針」)。県副知事は2015年に、「貨物と交差しても大丈夫だと聞いてきたから、当然、新幹線は200キロ以上で走るものと思っていた」と答弁していますが、それが大方の感覚だっただろうと思います。

それが、ふたを開けると高速走行が不可能だということになったわけです。

「260キロに耐えられる」「適している」、しかし実際は無理。なぜこんなことになったのか、やはり不思議です。

この日私は、旅客列車が貨物列車とすれ違いながら高速走行している例が世界にあるのか、と聞いたら、国は「分からないがレアケースには違いない」と述べました。

世界に例がないのに、なぜ青函でできると思ったのか、やはり謎です。

世界に例があるなら、そこから学べばいいのに、なぜそれをしないのか、さらに謎です。

安全性の担保は絶対に必要ですが、そもそも最初から、その重大性を認識してなかったんじゃないかという思いで質疑をしました。

高速走行は、県費負担(約800億円)の前提。それが不可能なら、返還すべき

もう一つは、高速走行と県費負担との関係です。

青森県は、当該部分の建設のための費用の一部を負担しています。

今後の見込も含めると、最大800億円。

何のために出しているか、というと、高速走行を可能にするためだ、と説明されてきました。

私は委員会で、この点を確かめました。

県は、高速走行を前提に県費負担をした、と答えました。

国は、この点に答えず、「いずれにしても高速化に向けて努力する」みたいな答弁でした。認めなかったんです。

私は、新幹線の建設のために県が公費を出していることそのものに反対ですし受け入れることはできませんが、国は、県費負担の根拠が高速化にあることですら認めませんでした。

高速化ができないなら、県費負担は返却すべきです。

すでに高速化できない現実がこれだけ長引いているわけですから、相当額を返却して当然です。

特別委員会は1日で終わりましたが、こうした問題を引き続き追及していきたいと思います。