定例議会が閉会しました。

私は、日本共産党県議団を代表して一部反対討論を行ったので紹介します。

 日本共産党の吉俣洋です。一部反対討論を行います。

 提出議案19件のうち5件に反対し、14件に賛成します。また、報告第1号は同意します。

 議案第7号「青森県行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行(しこう)条例の一部を改正する条例案」と議案第11号「青森県住民基本台帳法施行(しこう)条例の一部を改正する条例案」はいずれも、マイナンバーの活用を拡大するものです。

 マイナンバー制度により、政府が、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもちます。

 デジタル化についていえば、それ自体は生活向上に役立つ可能性をもち、適切に推進されるべきですが、デジタル化が進めば進むほど情報流出の可能性が増す側面も見落としてはなりません。過度に個人情報が集積すれば、情報流出のインセンティブは増加します。セキュリティーを強化することだけでは防ぎえない情報流出を考えると、マイナンバーにプライバシーを紐付けする度合いを薄める方が安全であり、その意味でも、マイナンバーの活用を拡大する議案には賛成できません。

 なお、「デジタル化」の名のもとで、マイナンバーカードの取得を強制するようなことがあってはならないことも指摘しておきます。

 議案第10号「青森県県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例案」、議案第12号「青森県医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料徴収条例の一部を改正する条例案」、議案第15号「青森県漁業法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例案」は、法律改定に伴う条文整理が行われたものです。

 議案第10号のもととなった地域未来投資促進法は、全国2000と言われる一部企業に税制、土地利用、公共データの利用などの優遇措置を講ずるものです。産業集積によって地域経済を面的に支援する方式を変えたもので賛同できません。議案第12号のもととなった薬機法改定は、少人数の臨床試験データで早期承認した医薬品に対して求めてきた市販後の検証的臨床試験の実施を免除するもので、新たな薬害を生む懸念があります。議案第15号のもととなった漁業法の改定は、法律の目的から「漁業者および漁業従事者を主体」という言葉を削除し、漁業権の優先順位と大型船のトン数制限規制を撤廃し、漁獲割当制度に沿岸漁業者の同意を得ることを明記しませんでした。浜の生業を守る立場を変えたものであり重大です。

 いずれも、根拠となった法律改定そのものに問題があり反対します。

 議案第1号「令和2年度青森県一般会計補正予算(第4号)案」は、全体として、コロナ危機のもとにある県民生活を応援する方向性を評価して賛成します。ただ、牛マルキンへの支援や保健大学学費免除の対象人数の拡大など、全体的にさらに踏み込みが必要です。

 県経済の実情は深刻ですが、それでも今はいくつかの支援策によって表面化していない危機が、年末にかけて顕在化しかねないことが危惧されます。雇用と経営を守るためにさらなる手立てを求めます。

 国内旅行需要拡大対策事業費についても一言述べておきます。

 県内宿泊観光キャンペーンの継続・拡大は必要ですし、その範囲を当面、北東北3県にしたことは合理的だと考えます。同時に、この事業は全国を想定していると説明がありました。県内の飲食店の多くはいま、首都圏からのお客さんはコロナが心配で遠慮してもらっている状況にあります。観光キャンペーンの対象範囲については、コロナ感染の危険性を軽視せず、慎重に判断するように求めます。

 請願についても一言述べます。

 核兵器廃絶は、第一回国連総会第1号決議以降、全世界が希求し続けている第一級の政治課題です。その後、紆余曲折がありましたが、現在、核兵器禁止条約は発効に必要な50カ国の批准まであと4カ国に迫っています。ようやく人類は、核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止を求める包括的な条約を手にしようとしているわけです。

 この動きの最大の推進力は、被爆者の声でした。私は繰り返し、県内にお住いの被爆者のみなさんからお話をうかがってきましたが、どなたも原爆投下後の様子を「地獄のようだった」とおっしゃいます。人として死ぬことすら許されなかったとおっしゃいます。そして、この過ちを二度と繰り返してはならないと声を上げ続けています。核兵器廃絶のこの思いが、ようやく現実になろうとしているとき、世界で唯一の被爆国日本がこの条約にサインすることはあまりにも当然です。

 核兵器がなくなればその使用は永久に不可能です。国連事務総長のグテレス氏が言うように、「核廃絶は一つの国家の命運を超越し、この惑星上の生命存続にとって不可欠」であることを強調し、本請願が採択されるように願います。

 以上で一部反対討論を終わります。