21日、青森市選出の県議3人で、教育長に会い、要望書を手渡してきました。

共産党の私と県民主役県政の会の鹿内さんと渋谷さんの3人です。会派が違うメンバーで、一つの要望書を出すのは初めての経験となりました。 鹿内さんや渋谷さんと議論し、教えてもらうことも多くありました。

主題は、浪岡高校存続です。それが一つ。

そのためには、おおもとにある第二期実施計画案を白紙撤回することが必要です。それが二つ。

さらにそのおおもとにある、将来構想があります。その対案となる、新たな将来構想ビジョンを検討すべきだ、というのが三つ目です。

この3人で実施したのは理由があります。

それは、浪岡高校統廃合案(つまり、第二期実施計画(案))が発表されてから、県議会で同校の存続をもとめた議員がこの3人だったからです。青森選出の県議は10人。そのうち9月議会と決算委員会で発言する機会があったのは6人。そのほかに、文教常任委員会に所属する議員が1人いますが、その人が質問したかどうかは議事録が出ていないので分かりません。

議会で「浪岡高校存続を」と求めらるだけではなく、あらためて論点を整理して教育長に要望することにしました。

以下、要望書の内容を紹介します。

青森県教育委員会教育長はじめ教育委員の皆様には、本県教育振興にご尽力されていることに心から敬意を表します。

私たちは、これまで県立高等学校教育改革は、教育振興並びに県政の最重要課題の一つと認識し、県議会で議論して参りました。

特に、先の第307回県議会定例会では、第2期実施計画(案)を中心に、一般質問、決算特別委員会で取り上げる質疑を行って参りました。

また、同計画(案)に関する地区懇談会に参加するなど関係者の意見を聞き、県教育委員会の見解と対応を伺って参りました。

しかしながら、現時点において、同計画(案)に同意できるとは言い難く、むしろ多くの疑問、問題点、矛盾を指摘せざるを得ず、地区懇談会の状況を見ても関係住民の理解を得たとは到底認められません。

それにもかかわらず、県教育委員会は今後、地区懇談会の実施を予定せず、教育委員会議を複数回開催して11月以降に同計画(案)の取り扱いを決定するとのスケジュールは、県議会の議論も不十分なまま同計画(案)を見切り発車的に決定する懸念を持たざるを得ません。

ついては、同計画(案)を見切り発車的に決定するのではなく、さらに議論と検討を重ね、真に関係者の理解と協力が得られる県立高等学校教育改革の内容とするよう、県教育委員会議で下記事項について検討し、実現されるよう要望いたします。

  • 青森県立浪岡高等学校の存続及び同校を全国募集導入候補校とすること。

(主な理由)

  • 浪岡高校は、全国的評価の高いバトミントン部や日本音楽部、空き缶壁画制作活動、浪岡北畠まつりへの参加などの活動は、同校の教育内容が豊かで人材育成に大きな成果を上げ、地域に貢献している証であり、将来においても同校の存続は必要です。
    • 第2期実施計画(案)では、野辺地高校が1学級の普通校として存続することになっているが、浪岡高校は野辺地高校と同程度の入学者数で、むしろ最近は地元から浪岡高校への入学者が増えているのに、統合されるのは不公平であり、不平等な扱いで、再検討すべきです。
    • 第1期実施計画期間中での上北地区の統合で野辺地高校に当たれる影響は少なく、むしろ浪岡中学校からの入学者が多かった黒石商業が閉校となり、浪岡地区の中学卒業生に大きな影響を与えていることから、野辺地高校同様に浪岡高校を1学級の普通校として存続させるべきであるにもかからわず、浪岡高校だけを統合するのでは、計画案は、整合性と一貫性がかけており、再検討すべきです。
    • 浪岡高校には、既に県外から、バトミントン部活動を希望して浪岡中学入学し、浪岡高校に進学する生徒も多く、部活動を指導、支援する体制も整っており、全国募集の実績があり、更に増える可能性が大きく、検討すべきです。
  • 第2期実施計画(案)を白紙撤回すること。

(主な理由)

  • 浪岡高校統合案に反対の声が強くあるように、大湊高校とむつ工業高校統合案や木造高校学級案に関係自治体等から反対の声も強く、これを無視して計画を決定すべきではありません。
    • 野辺地高校を普通校として1学級存続する考え方には賛同するが、同様の考え方で地域校とされる鰺ヶ沢高校、三戸高校も普通校として存続させなければ一貫性が問われます。第1期実施計画で大きな影響が生ずるのは、上北地区だけではなく、他地域も同様でありながら異なった扱いをしては、関係者の理解は得られず再検討する必要があります。
    • 県教育委員会が理想とする学校規模の標準を「1学級40人、1学年4学級」であるとの説明に地区意見交換会や地区懇談会で多くの疑問や見直し意見が出されているにもかかわらず、その考え方と進め方に固執し、学級を減らし、地域から高校をなくしてきたことに関係者は不安を持っていることから、この「標準」を再検討する必要があります。
    • 1学級40人を基準とする法律が改正され、自治体の事情と判断が尊重され、小規模校でも優れた教育活動をしている学校も多く、4学級以下の県立高校も増えていることから、少人数学級、小規模校の良さをいかすことを高校教育改革の基本的方向とするよう検討すべきです。
    • 地域校の基準緩和を求める要望が関係自治体等から出されているにもかかわらず、これを見直しせず、計画案では更に2校増やすのは説得力がありません。地域校は、これまで田子高校などが閉校となり、地域校制度は、将来に不安を持たれることから廃止し、新たな方策を検討する必要があります。
    • 一方で、地域校を全国募集導入候補校とするのでは、関係自治体からの協力、支援も限定的で、数年後に閉校となる不安のある高校に、県外から入学を希望する生徒数をどれ程期待できるか、矛盾した取り組みであり、定員充足率が5年平均90%以下の学校を候補校とすることも含めて、全国募集の制度設計を再検討する必要があります。
    • 全国募集導入にあたっては、県教育委員会としての教育的意図や目的などビジョンを明確にし、併せて導入校及び関係自治体に対する施設、人事、財政等の優遇措置も知事部局と協議し示すべきで、検討する必要があります。
    • 全国募集導入校は、生徒数が不足しているからとの数合わせではなく、教育の内容と質の向上を図り、希望者が幅広く進学先を選択できるような候補校とするよう再検討する必要があります。
    • 地域社会における県立高等学校の役割、及び、地域社会が生徒の向上発達に果たす役割は多岐多様であり、学校教育、社会教育、家庭教育とのかかわりも重要でありながら、これらに関する検討が不十分であり、再検討する必要があります。
    • 本計画案が1学級40人、1学年4学級に固執する理由の一つに、教員定数に係る法律、制度が考えられ、その影響を人口の少ない地域の児童生徒が受け、学級が減らされる学校が閉校になるなど、教育環境の後退を招いていることは否定できず、この責任は児童生徒ではなく、教育行政のあり方にあります。県教育委員会として、本県独自の少人数学級と小規模校推進のための教職員配置及び予算化について知事と協議するように検討すべきです。
  • 少子化時代に対応できる新たな県立高等学校教育将来ビジョン策定の検討を行うこと。

(主な理由)

  • 第2期実施計画案の基本は、平成27年度の「県立高等学校将来構想」答申ですが、改革を口実に学級を減らし、地域から学校をなくしてきました。同計画案に対する反対の声が多いことからも明らかなように、今後もこれをすすめることは不可能であり、平成27年度答申に代わる新たな取り組みが必要です。
    • 生徒にとって必要な教育環境は、県教育委員会が標準とする「1学級40人、1学年4学級」を維持するだけではありません。情報化、少子化、国際化の時代に対応できる一人一人の個性と多様性をいかし伸ばす本県高校教育のあり方を、県民参加を得ながら、新たな青森県立高等学校等学校教育将来ビジョンを策定すべく検討する必要があります。
    • 本計画を令和3年度に決定しても、全国募集導入は令和5年度であり、4校の統合は、令和10年度開校予定であることから、決定を1~2年延期し、その間は、第1期実施計画の内容で進めても問題ありません。反対、疑問、矛盾のある計画案に固執するよりも未来志向で新たな将来ビジョン策定を目指すことが、本県高等学校教育の振興と児童生徒の健やかな発達向上に必要かつ重要と考えます。

以上