不破哲三さんの著書

日本共産党前議長の不破哲三さんが沖縄でおこなった講演が一冊のパンフレットになりました。日本共産党が4月10日・11日に開いた第五回中央委員会総会(五中総)では、参議院選挙の政策論戦の柱の一つとして、「基地のない平和な沖縄」がすえられています。私たちはいま、保革の枠を超え、「新基地建設反対」という大義で県民と野党が一致した沖縄のすばらしいたたかいを目にしていますが、オール沖縄のこのたたかいが、全国にひろがる野党共闘の嚆矢(こうし)だったことは間違いないでしょう。来るべき参院選は、安保法制を廃止し、安倍政権を打倒して立憲主義を取り戻すために、野党と市民の共同でたたかう選挙です。沖縄のたたかいから学ぶことは多いと思っています。

このパンフの魅力は、ページを開いた最初から感じます。実行委員会形式でとりくまれたこの講演に寄せられた翁長雄志知事のあいさつからスタートします。書かれていることをそのまま文字にすると…
「はいさい、ぐすーよー ちゅううがなびら。」
沖縄の雰囲気がそのまま伝わってきます。
翁長知事のほかに、「日本の政治が大きな分岐点を迎えようとしている」「この沖縄から日本の政治を変えていかなければならない」と訴える呉屋守将さん(オール沖縄会議共同代表)、みずからを「良質な保守」と呼び、沖縄のたたかいを日本の政治をかえるたたかいに、と呼びかける那覇市議会議長の金城徹さんなど、熱いメッセージが続きます。

不破さんの講演は、不破さんと沖縄の「出会い」のエピソードから入り、「沖縄問題」とは何かが縦横に展開されています。
私が一番注目したのは、安保条約についての考え方が違うことが前提になっている「オール沖縄」の共同を大事にしながら、安保廃棄を綱領的展望として持っている日本共産党が、沖縄問題の解決の展望をどう語るか、ということです。
不破さんの語り口は明快です。
「沖縄問題」を4つの角度で語る不破さんですが、そのうち第一(なぜ、沖縄は日本から切り離されたのか)、第二(アメリカは沖縄にどんな基地をつくってきたか)、第三(アメリカは辺野古基地建設で何を目的としているか)は、歴史的経過と事実関係について明らかにしている部分ですから、安保条約についての立場の違いを気にせず語れます。米国による沖縄占領がカイロ宣言にも反する無法行為であったこと、沖縄の米軍基地が世界でも異常な殴り込み部隊であること、この在沖米軍の性格は辺野古に新しい基地をつくることによってより強化されること、などなど、ことの真相が次々と明らかにされていきます。
しかし、「じゃあ、この問題をどうやって解決するか」という話になると、安保条約についての立場の違いは問題にならざるを得なくなります。そこを不破さんがどう語っているか、このパンフの最大の読みどころだと思いました。

私なりに整理すると、安保条約についての立場の違いに配慮しつつ、二つの角度で展望が語られています。
一つは、保革の枠を超えた県民の団結の力が、日米支配層の思惑を突き動かす原動力だ、という指摘です。
もともとは、条約上は不可能だったはずの沖縄本土復帰を可能にしたのも、今流に言うと「オール沖縄」と本土の連帯した力でした。いま、沖縄新基地建設をめぐって米国は、日本政府以上に沖縄の民意を気にしているそうです。「アメリカの基地は、基地にたいする敵意に包まれているところでは危なくて役に立たないのです」(49㌻)。これを「政治的受容性」と呼ぶそうですが、もう「受容」の限度は超えてしまっている、そのことを沖縄県民が米国に突きつけていることが、この問題を解決する大きな力だということが強調されています。「沖縄県民こそ沖縄の主人公…この主人公が不屈の意思を固めたときに、誰もその前途を阻むことはできない」のです(54㌻)。市民との共同で参議院選挙をたたかう私たちにとっても、確信を持てる話です。
もう一つは、基地問題の根本解決の道をどう語るか、という問題ですが、不破さんは「日本国民はどんな頑強な相手でも打ち破れる決定的な切り札を持っている」(55㌻)という言い方で、安保廃棄の道を紹介します。「切り札」とは、安保条約第十条のことです。「自分たちがこういう切り札を持っているということ、そのことはぜひ、きちんと胸に刻んでいただきたいと思います」と短くしか語っていないのですが、安保条約についての立場の違いがあっても「なるほど」と思ってもらえるような語り方として、とても説得力を感じました。
五中総は、日本共産党の躍進がなぜ必要か、という問題について、安倍政権の暴走に確かな足場をもって対決し、転換の打開を示す党の値打ちを語ることを提起しています。その語り方は個性を発揮してそれぞれの言葉で語っていきたいものですが、その際、日本の政治を変える大目標では一致しない勢力にも納得してもらえるような語り口で、日本の改革の本当の道をしっかり伝えることが大事になります。その一つのヒントがここにあるな、と思いました。
戦争と独裁への道を許さず、平和で民主的な希望ある日本を切り開く歴史的政治戦を控えたいま、このパンフからも大いに学び、力にし、参院選の勝利・躍進を必ず勝ち取る決意です。