医療的ケア児への支援体制について、こだわって質問を続けてきました。

6月の一般質問、10月の決算特別委員会につづき、今月5日の一般質問でもとりあげました。

今回は知事も答弁してくれて、それはそれでよかったな、と思っています。

具体的な課題として、保育園の受け入れの問題もあるのですが、就学後のことが気になっています。決算で公立学校のケースを聞いたので、今回は、特別支援学校のことを聞きました。

特に、「特別支援学校の施設をつかって、放課後デイはできないのか?」「事業者が希望すれば、可能じゃないのか?」ということです。

仕組みとしては可能。

実際にやれるかどうかは条件は多々ある。でも、子どもたちのことを第一に考えたい。

という答弁でした。

今後の足掛かりになる答弁だったんじゃないかな、と思っています。

該当部分を紹介します(録音をテープ起こししたものです)。

〇壇上からの質問

4 つ目のテーマは、医療的ケア児への支援体制についてです。
 昨年、東京の国立成育医療研究センターに併設されている医療型短期入所施設「もみじの家」に視察に行きました。保育事業を位置付けたり、家族の部屋を充実させたりと、子どもを中心に家族によりそった運営は印象的
でした。
 大事だと思ったのは、制度や資金など困難があっても、「子どもたちと家族のために乗り越える」という姿勢が貫かれていることです。本県でもこうした努力は関係者によって続けられています。そのすべてに敬意を払い
ながら、いくつかのことを質問します。
 まず、医療的ケア児の支援体制の整備について、県としてどのように推進していくのかうかがいます。
 次に、県がとりくんできた実態調査についてです。10 月の決算特別委員会で確認しましたが、この調査のなかには要支援者名簿へ
の登録状況調査も位置づけられています。
 医療的ケア児の実態調査結果についてうかがいます。
 保育所への入所の問題について聞きます。
この分野では、入所先を探すための家族の負担軽減ということも大命題ですが、入所する側の条件を整えることも重要です。保育体制全体への支援を強化しながら、医療的ケア児の受け入れ条件を拡充するための独自のとり
くみが求められています。
 保育士による喀痰吸引研修が始まるなどの変化もおきていますが、保育所等における医療的ケア児の受け入れ促進のための県の取り組みについてうかがいます。
 さらにもう一点お聞きしたいのは、就学後のことです。決算特別委員会では公立学校に入学する場合のことを聞いたので、今日は特別支援学校のケースについてお聞きします。
 検討部会のなかで、「特別支援学校の建物をつかって放課後児童会や放課後デイの実施はできないか?」という問題提起がありました。障害の有無にかかわらず、どの子の親にも同じ条件を保障する必要性を考えると、当然の要求です。もちろん事業実施に向けた課題は多いと思いますが、これが不可能だという法的規制はないはずです。
 そこでお聞きします。県立特別支援学校の施設において医療的ケア児に放課後デイサービスなどの提供を希望する事業者に対して、施設の貸し出しを行うことは可能でしょうか? 答弁をお願いします。
 6 月の一般質問で紹介した医療的ケア児の女の子は、最初に会ったときは仰向けに寝たまま、それでも動き回る姿に感銘をうけたものです。久しぶりに会ったら、補助器具を使いながらですが、両足で歩いてたのでびっくりしました。来年度から小学生です。お母さんが言うには、最初は足の裏をつくことすらも違和感があったそうです。そこから始まった格闘が、いまは乗り越えたものになっています。様々な支援を受けながら、この子が発
揮したエネルギーを考えたとき、すべての子どもの可能性がいかんなく発揮できる世の中になれば、すごい青森県になるなと思いまし
た。足の裏をつく――文字通り一歩を踏み出すことへの勇気は一人ひとり違うかもしれませんが、そのすべてを支える体制がさらに充実するように、私も努力をつくす決意です。

〇答弁

◯三村申吾知事
 吉俣議員にお答え致します。
 私からはまず、医療的ケア児の支援体制の
整備についてでございます。
 私はすべての県民が生涯にわたり健康で安心した生活を送ることができる保健・医療・福祉包括ケアシステムの構築に取り組んできたところであります。その中で障がい者の方々が安心して暮らせる共生社会の実現に
向け、青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦におきまして、障がい者等が自立し安心して暮らせる共生社会作りを施策の一つに掲
げ、各種取り組みを進めております。
 特に近年の医療技術の進歩等を背景とした医療的ケア児の増加を踏まえ、平成30 年度から、青森県障がい者自立支援協議会に、保健医療・障害福祉・保育・教育等の関係機関及び当事者団体に所属する方々を委員といたします医療的ケア児支援体制検討部会を設置致しております。その部会の中で医療的ケア児が心身の状況に応じて適切なサービスを受けられるよう、医療的ケア児支援に係る議題やその解決策を議論し、具体的な事業の実施に取り組んでおります。
 今後とも、医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活できるよう、関係機関一体となって支援体制の整備に取り組んで参ります。

〇有賀玲子健康福祉部長
   続きまして、医療的ケア児の支援体制についてということで、まず実態調査結果でございます。
 今年度実施した実態調査においては、市町村に加え、県内医療機関や訪問看護事業所、県教育委員会にも同様の調査を依頼したとこ
ろ、医療的ケア児指数の推計値は166 人となっており、昨年度の市町村のみで実施した調査結果による推計値111 人を大きく上回りました。年齢別では0歳児から5歳児までの未就学児童が71 人と最も多く、全体の約43%を占めるとともに、医療的ケアの種類別では、複数回答で、痰吸引が最も多く、75人 ついで経管栄養が65 人となっています。
 また災害時の医療的ケア児の円滑かつ迅速な避難体制の確保が図られているか確認するため、当該医療的ケア児が災害対策基本法 基づく避難行動要支援者名簿に掲載されているか調査を行ったところ、市町村が把握していた医療的ケア児数129 人のうち、名簿掲載者数は47 人で全体の約36%となってお
りました。
 次に、保育所等における医療的ケア児の受け入れ促進のための取り組みでございます。
 県では今年度から医療的ケア児保育支援モデル事業を実施しているほか、令和2 年度からは喀痰吸引等研修の対象に保育士を加え、保育所等において医療的ケアを行うことができる体制の整備を更に推進していくこととしています。また令和2年度から新たに医療的ケア児保育所等受け入れ促進事業として
普及啓発フォーラムを開催するほか、保育事業者を対象として医療的ケア児保育に関する基本的な知識や技術を学ぶための研修会を開催することとし、令和2 年度当初予算案に所用の経費を計上し本定例会においてご審議頂いているところです。

〇 和嶋延寿教育長
  次に、県立特別支援学校の施設において医療的ケア児に放課後等デイサービスなどの提供を希望する事業者への施設の貸し出しについてです。

 県立特別支援学校の施設について事業者から貸し出しの希望があった場合、十分な空き教室等があること、事業者が行うサービスの計画・事業者の信用・資産の状況等を確認した結果、教育活動や管理上の支障がないことなど一定の条件を満たした場合には貸し出しを行うことも可能となっています。

〇再質問

〇よしまた議員
 医療的ケア児の支援体制について伺います。
 放課後デイサービスなどの提供の問題ですが、先ほど様々な条件を得れば可能だということでした。仕組みとしては可能だということなのだと思いますが、特別支援学校で放課後デイなどを行う最大のメリットは、移動が不要だということです。また、事業者にとっても参入しやすいと思います。これは青森県で始まれば画期的なことになります。ぜひ後押ししてほしいと思います。
 特別支援学校の施設を使ったサービスの実施へ力を尽くすべきだと思うんですけど、いかがでしょうか。

〇和嶋教育長
 いまお話がございましたように、子どもたちにとってなるべく負担がかからない形での様々なサービスの提供というものは、私も必要だと思っています。
 一方で特別支援学校を直接利用していただくということについては、先ほどお話をしましたような空き教室があるとか様々な条件を
クリアする必要があると思っておりますので、その条件がクリアできれば、先ほどもお答えいたしましたが、利用は可能だという風に考えております。以上です。

〇よしまた議員
 子どもたちに負担がかからない形でのサービスが利用できるように、という思いを語っていただきました。
 ぜひそういう角度で積極的に、もちろん条件は必要なわけですが、積極的に対応いただきたいと思います。