青森県議会は3月議会が続いています。今日は質疑の2日目でした。

全会一致にならない意見書の採決が行われました。

自民党などが憲法についての意見書を出してきて、これが採択されてしまいました。

意見書のタイトルは、「国会における憲法議論についての意見書」となっています。しかし文書の結論は、「国会の憲法審査会で丁寧な議論を」というもの。改憲発議のために作られた委員会で議論するということは、改憲をすすめろということに他なりません。

私は、日本共産党県議団を代表して反対討論を行いました。

鹿内県議が、県民主役の県政の会を代表して反対討論をしました。

さらに、民主連合の会派が反対しました。

あとは賛成です。

私の反対討論は次の通りです。

日本共産党の吉俣洋です。国会における憲法議論についての意見書案について、反対討論を行います。

提案された文案の最初の3行を主語と述語だけ取り出してみると、「日本国憲法の基本原則は…今後も堅持されるべきもの」ではなく、「日本国憲法は…今後も堅持されるべきもの」となります。いま県議会が、日本国憲法の堅持を議決するというであれば、その意味は大きいと考えます。しかしそれならなぜ、それに続く文書の結論が、「憲法審査会での丁寧な議論」を求めることになるのでしょうか。

憲法審査会は、憲法の一般的な議論をする場所ではありません。国会法102条に規定されるように、改憲発議を任務とする場です。ここで憲法の議論をするということは、改憲を進めることを意味します。したがって本意見書案には賛成できません。

一般的に憲法を議論しようというだけなら、いまでも可能です。それを妨げるものは何一つありません。

わが党は国会で、憲法を指針に日本改革をすすめる立場から、憲法の議論を続けています。私自身もこの壇上において、6月の一般質問では、日本国憲法第26条を引用して学校給食無償化の実現を求めました。5日の一般質問で子育て支援の提言をした問題意識の根底には、生存権を規定した憲法25条があります。原発・核燃問題にこだわっているのは、憲法13条が国政に最大の尊重を課した幸福追求権が、福島第一原発事故で奪われた現実をみたからです。

今日の改憲論の端緒は、安倍首相が改憲スケジュールを示したことにあります。しかし、日本国憲法第99条は、国務大臣などに憲法擁護義務を課しており、それを果たさず、改憲の旗振りをすること自体が、憲法破壊の行為です。

いまなぜ憲法を変える必要があるのか、2月に自民党役員の発言が続きました。同党幹事長代行の稲田朋美氏は、「憲法に男女の不平等の解消を明記することを議論すべきだ」と言いました。また同党選対委員長の下村博文氏は、新型コロナウイルス対策で「人権も大事だが公共の福祉も大事」と改憲論議に結び付けようとしました。しかしいずれも、現憲法にすでに書き込まれています。前者は14条と24条に、後者は13条に。

現憲法を読むだけで消え去るような理屈しかないのであれば、憲法を変える必要はありません。

最後に、知事が議案説明の際に引用された哲学者・梅原猛さんに、私も思いをはせたいと思います。

梅原氏は晩年、「9条の会」の呼びかけ人となり、「憲法9条は人間の理想、人類の未来の理想が含まれている」と、9条を守る運動の先頭にたちました。

「平和の理想を高く掲げ、内に死を賭(と)してたたかう強い軍隊をもつ国には容易に外国が攻めてくるとは思われない」とも語っています。

憲法9条が禁じるのは、自衛ではなく他国での武力行使だというのが、政府の長年の憲法解釈だったはずです。そうすると、9条を変えて可能になるのは、他国領域での武力行使に他なりません。日本を海外で戦争する国にしてはなりません。

いま必要なのは、憲法を変えることではなく、守り生かすことです。そのために努力する決意を述べて、反対討論とします。

ありがとうございました。