※2021年9月28日、一般質問を行いました。その原稿を紹介します。

日本共産党の吉俣洋です。通告に従って一般質問を行います。

■症状に応じて医療機関にアクセスできる体制を――臨時の医療機関の設置について

私事ですが、東京で一人ぐらしをする娘がコロナ陽性となりました。幸い軽症で回復しましたが、不安な日々を過ごしました。自宅療養中、医療との接点は、PCR検査をした時に咳止めの薬をもらった程度で、あとは保健所と電話でつながるだけ。その電話が途切れたら終わり。これが「原則自宅療養」の現実です。“療養”と名はつくものの、その実態は自宅放置にすぎないと強く感じました。

本県は、一応、原則は入院と宿泊療養だとしていますが、八戸市だけで300人を超える自宅療養者がいたとも報じられ、入院病床と宿泊療養施設の確保をさらに強化する必要があります。

命に直結する大問題として、症状に応じて医療機関に必ずアクセスできる体制をつくる責務があります。時には、臨時の医療施設設置の決断も迫られます。臨時の医療施設の設置について、本県における検討状況をうかがいます。

■病床削減=命を軽視するこの逆流を、本県から跳ね返すべき

医療関係者などの必死の努力にもかからず、医療体制がひっ迫する根本には、感染症病床や保健所を縮小させてきた政治の責任があります。政府の新型コロナウイルス感染症分科会の尾身茂会長も、日本の医療制度が新興感染症に対応する余力をもたなかったことを指摘し、根本的な見直しが必要だと言いました。

ところが政府は、このパンデミックのさ中に病床削減を加速させています。命を軽視するこの逆流を本県から跳ね返していくべきです。

具体的に二つ聞きます。

一つは県立中央病院と青森市民病院のあり方に関わる問題です。

第一回県立中央病院と青森市民病院のあり方検討協議会の議事要旨では、「地域で急性期の必要病床数が700床多くなっている。これが一番気になる」という意見が一番最初に出てきます。病院機能のあり方を考えるなら、その出発点は地域医療のあり方であり、病床削減ではないはずです。

県立中央病院における今後の病床規模の基本的考え方についてうかがいます。

「700床多い」とされる根拠は地域医療構想です。多いとする比較対象は2025年の必要病床数ですが、この数の算定には、感染症の流行が組み込まれていません。パンデミックを知らないままにはじき出され、パンデミックになれば病床がひっ迫することが分かっている数を、4年後の目標にすべきではありません。

今後のパンデミックを想定し、地域医療構想における将来の必要病床数を見直すべきです。県の見解をうかがいます。

■医師増員にむけた県の努力を

病床削減とともに社会保障費削減の柱となってきたのが医師抑制政策です。

この点で知事が昨年1月、岩手や福島など5県の知事とともに、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」に参加したことは注目しました。設立趣旨には、「医療需要は市場原理のみに基づくと満たされない」とありますがその通りです。

ところが国は、医学部の臨時定員枠を減らす動きを見せるなど、“隙あらば医師数の抑制を”という構えです。これを許さず、医師数の増員を勝ち取ることが必要です。

そこで次の三点をお聞きします。

一つ。医師不足解消に向けた県のとりくみについて。

二つ。弘前大学医師修学資金貸与医師の県内での勤務状況について。

三つ。令和4年度の弘前大学医学部医学科の入学定員が27人減となるとの報道があったことについて。

それぞれ答弁を求めます。

日本共産党は22日、新経済提言を発表し、「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」を提唱しました。その実現へ全力をつくす決意です。

■デルタ株から子どもたちを守るために①――検査体制について

デルタ株が子どもたちに深刻な影響を及ぼしています。あらゆる手立てをつくして子どもたちを感染から守ることが必要です。その一つとして、検査体制の課題を提起します。

学校のように集団がはっきりしているところで感染が起きても、保健所体制がひっ迫していれば、濃厚接触者を速やかに確定できないという問題があります。文科省は8月、緊急事態宣言下などの状況であれば、学級等の単位で検査対象をひろげることを可能としました。

そこで、感染拡大下において学校で感染者が発生した際、保健所業務のひっ迫等により積極的疫学調査を行うことが困難となる場合も考えられるが、このような場合、県ではどのように対応していくのかうかがいます。

ワクチンを2度接種した人の感染が県内でも相次いでいます。政府分科会は、「希望者全員がワクチン接種を終えても、集団免疫を実現することは難しい」という見解を示しました。ワクチン接種は大事ですが、それだけにとどめず、大規模検査を実施し、感染伝播の鎖を断ち、感染源を減らす取り組みが必要です。この間、繰り返し提起してきましたが、あらためて要望します。

■中小企業支援について――事業継続支援事業の売上減少対象期間の延長を

次に、中小企業支援について質問します。

県は、商工団体を通じた調査として、前々年同時期比で事業収入が3割以上減少した事業者が4月の34%から7月の42%に上昇したことを明らかにしました。デルタ株が主流になるなか、経済状況の悪化が加速しているわけです。国は持続化給付金や家賃支援給付金の再支給に背を向け続けていますが、自粛と補償を一体に、感染対策と位置付けて事業者への支援を強めるべきです。

県の事業継続支援金は多くの業者に喜ばれていますが、売り上げ減少要件を3割から引き下げることも必要です。そして緊急にできることとして提起したいのは、減収要件の対象期間を6月までに限定せず、デルタ株の影響を受けている7月以降も勘案し、網をひろげることです。

青森県中小業者等事業継続支援金の減収要件の対象期間を7月以降までひろげるべきと考えます。県の見解をうかがいます。

■むつ市大畑小赤川の流木の処理について

次に進みます。

大雨による災害が、本県にも大きな被害をもたらしました。

私は8月の大雨災害の際、被害が分かった翌日の11日、高橋ちづ子衆議院議員とともにむつ市大畑に行くとともに、う回路を通って風間浦村まで行き、その日のうちに冨岡宏村長にお会いしてきました。復旧・復興のために必要なことは多いのですが、流木の発生に絞ってお聞きします。

それは現場で見た衝撃が大きかったからです。「流木」と表現するにはあまりに大きな木が大量に積みあがっていました。再利用の手立てを含め、処理のために大きなエネルギーを要すると想像します。

そこで、小赤川における流木の発生状況についてうかがいます。

また、撤去した流木の処理方法についてうかがいます。

■流域治水の推進を――関連法の成立を受けてどうするのか

全国どこにでも、想定を超える大雨によって大きな災害が起きうることをふまえ、新たな治水対策として4月28日、流域治水関連法が成立しました。ダム建設を軸にした従来の治水対策から、流域全体をまとめた対策への大きな変化が始まっています。

私は昨年12月の一般質問でもこの問題をとりあげ、大事な課題としてとりくみを求めました。今日は法律制定を踏まえてお聞きします。

まず、今般の豪雨を踏まえた治水対策についてうかがいます。

また、県管理河川において、流域治水の推進のため、どのように取り組んでいるのかうかがいます。

さらに、流域治水の実効性をより高めるため、特定都市河川浸水被害対策法が改正されましたが、県管理河川における対応をうかがいます。

■デルタ株から子どもたちを守るために②――心のケアが重要

続いて、子育てと教育の環境についていくつか質問します。

コロナ禍の下で学校生活を送る「コロナ世代」は、卒業式も入学式もないなど、さまざまな制約のなかで過ごさざるを得ません。寄り添った支援が必要です。

学校行事などの原則中止・延期や部活動の禁止により、動揺したり、悩みを抱えたりする児童生徒の心のケアが重要だと考えます。県教育委員会ではどのようにとりくんでいるのかうかがいます。

■浪岡高校の存続を①――浪岡で聞いた声を踏まえても、存続すべき

学校のあり方は、子育て環境にとって大きな位置をしめます。そこで、県立高等学校教育改革推進計画についてうかがいます。

7月7日に第二期実施計画案が発表され、関係自治体の反発を招きました。浪岡高校の統廃合案について、私自身が浪岡で聞いて感じたことを2つ紹介します。

一つは、7月30日の地区懇談会での住民の声です。

県教委の提案に反対する声が相次ぎました。特に注目したのは、浪岡から高校がなくなることを容認する意見がゼロだったことです。地域の実情に配慮することを第二期実施計画策定・推進の考え方に据えたわけですから、浪岡高校統廃合案は撤回しかありません。

もう一つは、8月28日に「浪岡高校の存続を求める会」が開催した決起集会に参加した国会議員の声です。その発言を発言順に紹介します。

一人目。「母校がなくなるとは人生の一部がなくなるようなもの」「地域文化の継承という点でも、選択肢がなくなるという点でも、未来が失われてしまう」。これは江渡聡徳衆議院議員です。

二人目。「県の決定は唐突。地域から学校がなくなるとは地域の活力を失うこと」。これは津島淳衆議院議員です。

三人目。「教育長まかせではなく知事が前面に立つべき」。木村次郎衆議院議員です。

四人目。「生徒減を理由に学校を減らせば、人口はさらに減り、悪循環に陥ってしまう」。高橋ちづ子衆議院議員です。

参加した国会議員全員が、「存続を求める会」と心はひとつだ、と明言しました。

県はこの声にどうこたえるつもりでしょうか。

高校の魅力化や全国募集など、浪岡高校のあり方についてもさまざまな意見が出ていますが、浪岡に高校が存続することを前提とした議論が噴出すること自体、存続を願うあらわれです。浪岡高校を存続する。そこに立ってあり方を検討する。その決断をすべきです。

なぜ浪岡から高校をなくす提案をしたのか。浪岡高等学校を青森西高等学校と統合することとした県教委の考え方をうかがいます。

■浪岡高校の存続を②――小規模校も選択として残すべき

浪岡高校の統廃合問題が浮き彫りにしたのは、その根本にある基本方針――県立高等学校教育改革推進計画基本方針の問題点です。この方針では、学校規模の標準として1学年を4学級160人以上と決めました。この数で学校の必要性を区切り続ける限り、第二、第三の「浪岡高校」が必ず出てきます。

解決策は小規模校も選択肢とすることです。県教委は、小規模校だと開設科目が少なくなる、などとしますが、それは教師の配置を標準にとどめるからです。小規模校であること自体が、子どもたちの学びにとって不利なわけではありません。むしろプラスの効果を指摘する研究者もいます。小規模校だけにしろ、ということではありません。その選択肢を残すべきだ、ということです。

地域の実情を踏まえ、小規模校であっても存続すべきと考えます。県教委の考えをうかがいます。

■人権と子どもの権利条約に即して、校則の総点検を

県教委は、学校の魅力化が必要だとします。それも必要かもしれませんが、もっと必要なのは、子どもと子育て世代にとっての本県の魅力化です。それでこそ将来に向けた展望を根本的に切り開くことができます。この問題意識でさらにいくつか質問を続けます。

まずは高校の校則にかかわる問題です。

青森市の9月議会で、わが党の村川市議が、市内の中学校の多くでツーブロックを禁止している理由を聞いたところ、市教育長は、「高校で禁止しているところが多い中で、受験のときにその髪型でいくのは難しいからだ」と答弁しました。本県では県立高等学校入学者選抜において、髪型により判断する基準を設けているのかうかがいます。

校則については昨年10月に佐賀県で、今年2月に福岡県で、弁護士会が見直しを求める意見を出しました。法的観点から校則を吟味し、「子どもの権利主体性に触れる校則はほぼ皆無」「規制目的と規制手段との間に実質的合理的関連性があるかという観点から見直すべき」と指摘しています。いずれも俎上にのったのは中学校の校則ですが、本県の高校の校則でも同じ問題を抱えています。

校則について私は、昨年3月の一般質問で、一つは社会通念に照らした合理性、二つは生徒の参加という角度で考える重要性を提起しました。

一つ目の提起は、校則の内容にかかわることですが、そもそも髪型や靴下の色などを細々と規定すること自体の必要性が社会通念に照らして問われています。生徒手帳に、“いたずらに流行を追うな”“流行を追ったヘアスタイル禁止”と書いてある学校まであります。自己表現の最たるものである髪型や服装の自由を制限して、どうして多様性の尊重などと言えるでしょうか。基本的人権と子どもの権利条約に即して、校則の内容を総点検すべきです。

二点目は、校則制定の責任とプロセスにかかわることです。校則を変える主体は生徒を中心とした学校現場であり、生徒の声で校則が変われば、それは最良の主権者教育ともなります。実施主体は現場にある。その大前提のうえで、教育委員会がどういう役割を発揮するのかが問われています。

そこで、校則の内容や見直しについて、県教育委員会の考えをうかがいます。

また、校則の見直しに係る各学校の取組を進めるため、県教育委員会はどのように対応し、役割を果たそうとしているのかうかがいます。

■生理用品の学校への配備をただちに

学校生活にかかわってただちに実施すべきこととしてさらに提起したいのは、生理用品をトイレットペーパーと同じように学校のトイレに配備することです。

教育長はこの問題で、6月議会の一般質問の際、「他県の状況も踏まえて研究していく」と答弁されています。

そこで、県立高校において、生理用品を自分で用意できない児童生徒への支援のあり方にかかる県教育委員会の研究状況についてうかがいます。

■国保料(税)の均等割り廃止で、子育て世代の負担軽減を

次に子育て世代の負担軽減のため、国民健康保険の均等割り廃止を求めます。

均等割りは、子どもが生まれたその瞬間から、その頭数で保険料負担が割り当てられる、極めて理不尽なものです。

子どもに係る国民健康保険の均等割り保険料(税)について、子育て世代の負担軽減の観点から、賦課すべきではないと思います。県としてどのように考えているのかうかがいます。

■国保運営方針について――決算補填などを目的としたもの以外を、「削除・解消することがのぞましい」とした記述は書き改めるべき

国保にかかわり、今年2月に策定された本県の国保運営方針についてお聞きします。

国のガイドラインは、国保会計の赤字を2種類に分け、決算補填などを目的としたものは解消・削減すべきだが、それ以外のものは、市町村の政策判断で実施されている事情があるので、解消・削除すべき対象とは言えない、としています。具体的には、保険料・税の減免額にあてるもの、小児医療や重度障害者医療の実施に関連するもの、国保診療所の運営にかかわるものなどが該当します。これらは地域医療にとって欠かすことのできない支出ですが、県の運営方針では、「本来は、削除・解消することがのぞましい」と記述されています。いますぐ改めるべきです。

青森県国民健康保険運営方針において「決算補填等目的以外の法定外一般会計繰入金については、本来は削除・解消することが望ましい」としているが、これは国の都道府県国民健康保険運営方針策定要領――ガイドラインに反するのではないか。県の見解を求めます。

■医療的ケア児への支援体制について――支援法成立をふまえて、さらに努力を

次は、医療的ケア児への支援体制についてです。

今年6月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立し18日から施行されました。これまであいまいだった医療的ケア児の定義が定まるなど、支援体制の強化が期待されます。保育園や学校、放課後児童会などでの看護師の配置を国や自治体、学校設置者の責務としたことも重要です。

そこで、支援法成立後の県の取組の方向性についてうかがいます。

また、保育所等について、県はどのようにとりくんでいくのかうかがいます。

学校での看護師の配置については、本県ではこれまで臨時講師としていたため、処遇が不安定であるだけでなく、学校の先生との関係で教員定数の枠を奪い合う関係にもなっていました。新法で、看護師配置が学校設置者の責務となり、医療的ケア看護職員という職名が与えられたことは事態を大きく変える可能性をもっています。15日に開催された県医療的ケア児支援体制検討部会でも、“臨時ではなくしっかりした身分の保証があれば、看護師の配置は進むはずだ”という意見が出ました。この声にこたえ、新たな対応をすべきです。

県立特別支援学校における医療的ケアを行う教員の配置について、県教育委員会ではどのように対応していくのかうかがいます。

支援法では、看護師だけでなく、喀痰吸引ができる保育士や介護福祉士などの配置も求めています。いまは、医療的ケア児の多くが特別支援学校に通っていますが、今後、そうじゃない選択も可能にする責務があります。こうした点も含め、支援体制の拡充へさらに尽力いただきますように要望します。

■再エネの促進へ①――地域初のエネルギーを地域の産業として促進するように

本県の魅力化といった場合、子育て支援の拡充とともに可能性を秘めていると思う分野として、再生可能エネルギーの導入促進について質問します。

日本共産党は9月1日、気候危機を打開する2030戦略を明らかにし、2030年度までにCO2排出を2010年度比で5~6割削減する目標をすえました。省エネとともに柱となるのが再エネです。既存の施設・建築物・未利用地などを活用し、地域発のエネルギーを地域の産業として開発することが、雇用・需要の創出になり、地域内の資金循環も生まれ、新たな活力となります。

国連IPCCが目標として提示する2030年まであと10年足らずです。CO2排出を大幅に削減し、新たな地域活性化策として再エネ促進をはかるとりくみを急ぐ必要があります。非常時のエネルギー源としても重要です。本県がその先進的役割を果たすことを願い、まず基本姿勢についてうかがいます。再生可能エネルギーの導入を県内の産業振興につなげていくべきと考えます。県のとりくみをうかがいます。

■再エネの促進へ②――学校への再エネ設備の導入促進を

具体的な課題を一つ、学校への再エネ設備導入についてうかがいます。

文科省は先月末、5月1日時点の学校での再エネ設備設置状況を発表しました。本県では設備接続の太陽光発電だけでみると、小中学校で97校1449kw、高校が12校134kw、特別支援学校が7校70kwとのことです。文科省は、50kw~100kwを公立小中学校におけるネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化の目安としていますが、この規模に達している学校はおそらくないと思います。この分野での立ち遅れを感じます。

県立学校において太陽光発電設備の整備を進めるべきだと考えます。県教育委員会の考えをうかがいます。

■再エネの促進へ③――再エネ促進のためにも、乱開発型の施設への適切な規制を

再エネの普及は大事ですが、森林を切り開いてメガソーラーを敷き詰めるなど、乱開発型の発電施設がひろがっていることが、再エネ促進の足かせとなりはじめてきました。

それが危惧される一つとして、青森市新城山田に建設中のメガソーラー計画について、心配なことを2つに絞ってお聞きします。

一つは、この大規模施設が青森市の水源保護区域に立地されようとしていることです。

新青森太陽光発電所建設事業に係る環境影響評価について、森林の伐採による水源への影響はどのように評価されているのかうかがいます。

もう一点。この工事が、防災調整池が設置されないままに執行されていることです。林地開発許可の上では、工事完成後の状況で判断するということですが、それでは、工事期間中の自然災害に対応できるのかどうか、心許ない部分があります。

開発区域で施工されている防災対策の内容と県の役割についてうかがいます。

山梨県では7月、条例をつくり、土砂災害の危険がある区域や山林などで、太陽光発電施設新設を原則禁止としました。同県知事は取材に対して、「安全安心な生活と自然環境との調和が不可欠であることを明確にする」と述べています。本県でも、自然環境との調和をはかり地域社会の利益につながる形で再エネが促進できるように、新たな条例制定を要望します。

■小川原湖でのオスプレイ低空訓練は、二重三重に無法で許されない

次に、小川原湖でのオスプレイ低空飛行訓練についてお聞きします。

6月下旬から7月上旬にかけて、米空軍横田基地所属のCV22オスプレイが小川原湖の湖面すれすれで訓練を繰り返していることが目撃されました。2時間にわたり湖を占有し、訓練場にしてしまう、とても危険で許されないものです。

この訓練は、航空法の最低安全高度である150メートルを下回る高度で行われていたことが、写真解析で判明しています。また訓練が目撃された領域は、米軍への訓練提供区域外です。二重、三重に無法な行為といえます。

そこで第一に、今回の小川原湖での訓練は、日米地位協定や日米合同委員会合意事項に違反していると考えます。

第二に、小川原湖でのオスプレイの訓練は認めるべきではありません。

以上の二点について、県の見解をうかがいます。

■六ヶ所再処理工場で発生した高レベル放射性廃棄物についての国との約束は?

続けて原子力政策についてお聞きします。

まず高レベル放射性廃棄物についてです。これまでの議論では、海外で再処理された際に発生し、そこから返還された廃棄物――いわば海外由来のものが中心だったと思います。しかし本県に存在するのはそれだけではありません。六ケ所再処理工場で生み出されたもの――いわば六ケ所由来のものもあります。しかもそれは、ガラス固化体だけではなく高レベル廃液のままの状態でも存在しています。

そこでまず、アクティブ試験で発生しガラス固化されずに六ヶ所再処理工場で保管されている高レベル廃液の量、そしてそれをガラス固化体に換算した本数、さらにこれに係る今後の処理対応と県の見解についてうかがいます。

高レベル廃棄物と本県とのかかわりで問題となる一つは、30年~50年という貯蔵管理期間です。

海外由来のガラス固化体の場合は、それが運び込まれている六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの安全協定で、貯蔵管理期間が担保されています。それでは六ヶ所由来の高レベル廃棄物はどうなるのでしょうか。

六ヶ所再処理工場で発生したガラス固化体について、海外返還ガラス固化体と同様に、貯蔵管理期間を定めるべきと考えます。県の見解をうかがいます。

さらに最終処分地にしない、という確約はどうなるでしょう。

青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないとの国の確約には、六ケ所再処理工場で発生したガラス固化体も含まれるのかどうか、うかがいます。

■核燃料サイクル政策について、本県は「推進」なのか「協力」なのか

最後の質問です。

日本テレビの鉄腕ダッシュという番組に福島県浪江町の土地を貸し、ダッシュ村という企画を支えてきたのは、地元の自民党町議で議長もつとめた三瓶宝次さんでした。三瓶さんはいま、津島原発訴訟原告に加わり「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」をたたかっています。

原発事故前は原発推進の立場だったという三瓶さんが、わが党の雑誌の対談企画で次のように語っています。

「安全対策といくら口で言おうが、いったん事故が起こったら想像を絶する事態になる。それが今回の原発事故の教訓です」「原発周辺自治体のみなさんは、浪江のようになる覚悟がありますか」。

原発を推進してきた方が事故を経験して語る自省と警告の言葉に耳を傾ける必要があります。

私は、本県は核燃料サイクル政策を推進してきた責任があると思ってきたのですが、7月の商工労働観光エネルギー常任委員会で質問すると、「本県は推進の主体ではない」という答弁でした。ただ同時に、「国の基本政策が変わらないことが、立地協力の前提だ」とも言いました。国の基本方針が変われば協力しないというなら、それは結局、原発・核燃を推進していることになるのではないでしょうか。

それでも「あくまで協力だ」というのであれば、国が政策を変更した場合――例えば全量再処理から撤退した場合、本県はその新路線に適切に協力し、全量再処理に固執することなく、協定に基づいて使用済み核燃料を搬出する手続きを速やかかつ粛々と開始すべきです。その際、これまでの経緯を踏まえ、国に対して、雇用と地域経済を支える新たな枠組みを迫るべきです。

あらためて本県が推進なのか、協力なのか、お聞きします。核燃料サイクル政策に関する県の基本スタンスについてうかがいます。

再処理はしたくてもできません。プルトニウムは、大量消費先がなく増殖もできません。この2点は、どんな政治判断によっても乗り越えることのできない技術的困難であり、誰が首相になろうと、どの党が政権を担おうと避けて通れない現実です。ここに端的に表れている核燃料サイクル路線の破綻を直視し、原発・核燃からの撤退戦略を準備するように求めて質問を終わります。ありがとうございました。