青森県議会は今日、閉会日です。

いま議長が辞表を出した、ということで暫時休憩中。

先ほど私は、党県議団を代表して一部反対討論を行いました。原稿を紹介します。

日本共産党県議団を代表し、一部反対討論を行います。

提出議案と報告20件のうち、4件に反対し、16件に賛成・同意・承認します。主な反対理由を述べます。

議案第2号「青森県行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行(しこう)条例及び青森県個人情報保護条例の一部を改正する条例案」は、いわゆるマイナンバー法が改定されたことにともなって提案されています。これはデジタル関連法の一部です。

デジタル技術の発展・普及による行政の効率化と利便性の向上は大事な課題ですが、それは、行政機関が保有する膨大な個人情報の利活用を、国民自らが監視・監督できる法整備、体制整備と一体に行われなければなりません。

デジタル関連法の審議の過程では、国や独立行政法人がすでに、民間事業者からの提案募集の対象として、横田基地騒音訴訟の原告の方々の情報や国立大学の学生の家庭事情、受験生の入試の点数まで対象としていたことが分かりました。非識別加工をするとはいえ、それを実施する業者は民間です。行政が収集するデータを、当人が知らないままに売買されることは重大なプライバシー権の侵害です。マイナンバー法の改定はこうした動きの一環であり、本条例案には賛成できません。

報告第4号「専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件(青森県県税条例の一部を改正する条例)」では、軽油取引税に係る免税軽油の提供時における課税免除の特例措置が含まれます。そのうち、自衛隊が外国軍隊へ提供する免税軽油も免税する点に問題があります。

自衛隊自身が使用する場合の免税には問題ありません。しかし、自衛隊が第三者に提供する場合は、それが例え災害での救助活動であっても課税されるのに、外国軍隊への軽油提供だとなぜ免税となるのか。具体的には、安保法制によって集団的自衛権の行使にあたる後方支援をおこなった場合、外国軍隊に対する免税軽油の提供が免税となります。海外で戦争する国づくりの一環の措置であり反対です。

報告第5号「専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件(青森県県税の特別措置に関する条例の一部を改正する条例)」には、原子力発電施設等立地地域に立地する企業への優遇措置が含まれています。原発の立地促進の一環であり反対です。

原発は今後、新規増設やリプレースがない限り、次々と寿命を迎えます。福島第一原発事故の経験から確立した40年という運転期間を延長する動きは重大ですが、それですら、問題の先送りでしかありません。今後フェードアウトしていく産業を軸にした振興を図ることは不要であり有害であることを指摘しておきます。

請願2件「青森県主要作物種子条例の制定を求める請願」と「新型コロナ禍による米危機の打開を求める請願」についてふれます。

種子条例を制定した都道府県は、いまや過半数に及びます。優良種子の安定確保をはかることを都道府県の重要な責務とし、優良品種に係る知的財産の適正な保護をはかることは、農業県を自負する本県にとって大きな意義をもっています。またその農業が、コロナ禍の下で米価暴落に直面しているいま、危機打開のために政府が役割を果たすように求めることも当然です。いずれも議会の意思として示されることの意味は大きく賛成します。

最後に、議案第1号「令和3年度青森県一般会計補正予算(第一号)案」は賛成しますが意見を述べます。

本県の感染状況がエピカーブのボトムとなっているいまこそ、感染対策の基本にそって次の波を封じ込める戦略をもつことが急がれます。特に危惧するのは、新たなリスク要因です。デルタ株の流行がその中心ですが、人為的要因としてオリンピックの開催があります。専門家が無観客を提言したにも関わらず、1万人の観客動員となり、しかもその数には、オリンピック関係者や子どもたちの観覧動員はカウントされません。すでにほころびをみせているバブル方式が仮に功を奏したとしても、全世界からの人流の増大が日本全国に感染をひろげるリスクは専門家が指摘しているとおりです。感染対策が市民の協力に深く依存していることを考えたとき、「盛り上がる人々」「人流・接触機会の増大を誘引するような映像」が届くことが、矛盾したメッセージとなる、という専門家の指摘も重いものがあります。本県のコロナ対策を考えても、オリンピックを中止し新たなリスク要因をなくすことが求められています。

事業者に対する事業継続支援の実施を歓迎します。専決で実施されている飲食店への認証制度とともに、業者の声や実情によりそい、親身になった支援として実施されるように求めます。

生活支援策のうち、生活困窮者自立支援金は、総合支援資金の再貸付が8月末までに終了する必要があるなど狭き門であるうえ、支給までのハードルが高く、機動的に機能しません。また、ひとり親家庭住宅支援資金貸付事業は償還免除の基準を所得ではなく「自立の度合い」でみるため、生活困窮が続けば続くほど、この事業による貸し付けが重荷になる危険性を持ちます。いずれも実施すること自体には賛成しますが、制度を改善し、生活困窮者にとって使いやすいものとなるように要望します。

以上で一部反対討論とします。