9月28日の一般質問で、校則問題を議論しました。

まず壇上で、①校則の内容を、基本的人権と子どもの権利条約に即して総点検すること、②校則を変える主体は生徒を中心とした学校現場にあるが、そのなかで県教委がどういう役割を発揮するのかが問われていること、の2点を指摘。その後、再質問で主に①にかかわる問題を聞きました。②についても原稿は準備していたんですが、時間不足で聞けませんでした。

再質問を文字おこししたので紹介します。

正式なものは、県議会の議事録をご覧ください。

●9月28日 青森県議会一般質問 再質問

よしまた県議:

校則についてうかがいます。

まず議論の前提として校則をどう性格づけるかということを確認しておきたいと思います。

さきほども答弁のなかで、校則は人権に配慮する必要がある、とありました。

それから国会では文部科学大臣が次のように言っています。二つ紹介します。

一つ。今年3月16日の参院文教委員会。「人権、人格を否定するような校則は望ましいものではない」。

二つ。指導のあり方について。2018年3月29日の参院文教委員会。「自尊感情等しっかり踏まえて判断がされるべきものと考えている」。

この2点は県教委も共有できるでしょうか。

和嶋教育長:

まさに、子どもたち一人ひとりが、校則については理解しながらそれを遵守していくということが必要だと思っていますので、指導の中で子どもの自尊感情を傷つけるようなことがあると、逆に指導としてマイナスの部分がでてくるのかな、と思っております。その意味では子どもを尊重しながら、一方で校則としての指導として、子どもたちに理解してもらうことが大事だと思っております。

よしまた県議:

大事な答弁だったと思います。

子どもを尊重しながら(指導を)行うと。自尊感情を損なわれてはならない、と。損なうようなことがあれば逆に指導としてはマイナスだという認識も示されました。

校則問題とはすなわち、人権問題であり人格や自尊感情にかかわる問題だということは確認できると思います。

じゃあ現実の校則がそれにふさわしいものになっているか、ということを検討したいと思います。その際、県教委自身が示した基準にたって考えたいと思います。

今年3月、校則の取り扱いについて県教委が通知を出しています。

「(校則の内容について)学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内で定めるもの」とあり、また、「内容や必要性について生徒・保護者との間に共通理解を持つようにすることが重要」だとされています。

私はこの間、何人かの高校生から直接話をうかがい、また生徒手帳などを見せてもらいましたが、とてもその必要性について共通理解を持てるとは思えないものが散見されました。

例えば髪型です。髪の色が明るいと学校で黒染めされるといった高校生もいました。

またツーブロックは多くの高校で禁止されています。

ツーブロックを禁止することによって達成が期待される教育目的とはいったいなんでしょうか。

和嶋教育長:

校則の中身ということが、学校がおかれている地域の実情も含めまして、保護者の考え方、一方で学校として求めるものということが、その共通理解のなかで進んでいくことだと思っています。

ということでいまお話の一つひとつの校則の細かな部分ではなくて、大事なのは、保護者を含めて、子どもたちと学校とで共通理解をもった校則として定めていくこと、その作業が大事だと思っています。

よしまた県議:

とてもいまのままでは共通理解はもてません。

実は今日私はツーブロックにしてきました。そう見えないかもしれませんが、ツーブロックなんです。髪を切ってくれた方にうかがうと、目をつけられた高校生はツーブロックかどうかを調べられ、そうじゃない高校生は黙認されるそうです。これではダメだと思うんですね。

服装も細かく規制されています。

例えばソックスの色は白か黒か紺というところは複数ありますが、下着について指定している学校もあります。「下着は白系の無地またはワンポイントのものを着用すること」となっている。佐賀県の弁護士会は、下着の色の規制が「生徒に羞恥心を抱かせるなど新たな人権侵害を生み出すことになる」と指摘しています。

そのうえ、ワンポイントならよくてツーポイント以上ならだめだ、というわけです。どうやって調べるんだろうな、と思うわけです。下着の全体をみないとワンポイントかツーポイント以上なのか、柄なんてわかりません。

こういう校則の存在そのものが、生徒の人格と自尊感情を損ねると私は思います。教育長の見解をうかがいます。

和嶋教育長:

さまざま事例をお話いただきましたが、すべての学校の校則について私どもとして把握しているわけではありませんが、各学校において、現在運用されている校則は、概ね社会通念に照らして合理的とみられる範囲内で学校や地域の実態に応じて定められているものと考えています。

一方で、県教育委員会で校則の積極的な見直しについて今年3月に通知したところであり、校則の見直しには、生徒・保護者・学校との共通理解が必要であることから、その見直しには時間を要するものと考えており、すべての学校において見直しを進める途上であると思っております。

県教育委員会としましては、学校をとりまく社会環境や生徒の状況は変化することから、校則の内容は、生徒の実情や保護者の考え方、地域の状況を踏まえたものとなるよう積極的に見直す必要がある、と考えております。

よしまた県議:

教育長はおおむね合理的だ、とおっしゃいました。ツーブロックを禁止する校則の存在を知っていて、「合理的だ」とおっしゃっているので、じゃあどういう教育目的が期待されるんですか、と聞きました。ツーブロックを禁止することが、あるいは下着の色を指定することが、どういう教育目的の達成を期待するものと考えているんでしょうか。

和嶋教育長:

一つひとつの項目ではなくて、概ね社会通念上と言いますのは、学校が子どもたちに対して求めているもの(があり)、一方、子どもたちが学校生活の決まりとして遵守していくもの、また保護者が容認しているもの、ということのなかで、大枠の中で、社会通念上ある程度、合理的なものが多いと思っております。

一方で一つひとつのことについては、学校において見直しを行っている途上の段階も多いと思いますので、そのなかで、子どもたちまた保護者から理解してもらう校則に変わっていくものと思っております。

よしまた県議:

私は下着の色を白にしろとか、ワンポイントならよくてツーポイント以上ならだめだ、という社会通念はないと思いますよ。それはやはり放置しておいてはだめだ、と思います。

いじめとの関係も一言聞いておきます。

2019年6月、本県の「第18回いじめ防止対策審議会」でこういう意見が出ています。

「いじめは人権意識が涵養されている土壌では起きにくいものであるが、現在の学校では、校則が生徒の多様性を認めるものになっていない例がみられる」

もっともな意見であります。

いじめとの関係で深刻な指摘がされているにも関わらず「概ね合理的だ」という答弁があるわけです。このいじめ審議会での意見と校則の関係というのは、その後、どう議論されていますか。

和嶋教育長:

いじめその他、教員による体罰もそうですが、学校における様々な課題は、子どもたちの人権、一人ひとりの子どもたちを尊重するという考え方の浸透がこれからさらに必要だと思っております。そういうなかで校則も、またいじめもそうですが、一人ひとりの個を尊重する、人権を尊重するというところから切り口に解決できるものも多いと思っております。

よしまた県議:

大変大事な答弁だったと思います。

一人ひとりの個を、人権を大事にするところから考えていけば切り口が見えてくる、ということでした。それがぜひ学校現場で貫かれるように求めたいと思います。

佐賀県の総合教育会議の議事録をみますと、大変面白い議論がされていました。これは(佐賀県の)知事が、校則問題を議論しようじゃないか、といって総合教育会議に提起しているんです。

教育委員「選挙権下がって18歳で知事を選ぶ権利があるのに、靴下・下着の色を選べないと」

知事「ほんと、そうですよね。高校ってもともと義務教育じゃないし、もう、ある程度、自己責任のところでもっていかないといけませんよ。下着の色とかよく分からないですよね、ああいうのは」

教育委員「下着の色は、なぜ白だけ」

知事「余計なお世話ですよね。ほんとに」

私もそう思います。

こういうことは一層する必要がある、ということをのべておきます。